2011年10月09日
ーあの曲を聴くと思い出す、そんな情景がある。
あの情景を思うと流れ出す、そんな曲がある。
「聞きしに勝るハードスケジュールだな。京都で一泊して帰ってくれば良いんじゃないすか」
そういうと、
「いや、文春から来た原稿を上げないといけないから...やはり東京に戻るよ」そう自分に言い聞かせるような口調で返した。
僕は東京へと戻ったその翌日以降のスケジュールにも興味が沸いたけれど、なんだかお互い話すだけで疲れちゃいそうな雲行きを察知して、遠慮することにする。
事故調査委員会の件から邦さんは、報道機関や国などの行政から現在依頼されているさまざまな仕事を、1つ1つ説明してくれた。そして最後に
「今、自分が死んだら大変なことになっちゃうな」
そうつぶやくように言った。
「そんな...」僕は思わずそう返したが言葉が続かず、ただ黙って邦さんの横顔を見ていた。その表情は確固たる信念と覚悟を持って己の仕事に打ち込んでいる男の顔、まさしくそれだった。このとき僕は普段とても穏やかな邦さんの、うちに秘めた強い意志を垣間見た気がする。高速道路のやわらかいオレンジの灯りが入り込んでは邦さんの横顔を照らし、またすっと暗くなったー
ー『ヒーローに乾杯』という曲はたまたまTVのドキュメント番組で数十秒間流れて知ったのだが、曲を聴いた瞬間、この1年ほど前の邦さんの横顔が鮮明に浮かできて「ああ、これは邦さんのテーマソングだ」僕は勝手にそう認定してしまった。柳田邦男公式テーマソングなんだから探さねばと思っていろいろと調べてみて、ようやく曲名が分かる。そしてCDを取り寄せ、あらためてゆっくり聴いてみた。やはりこれは邦さんのテーマソングだ!
- Here's to the heroes Who never rest
- Here's to the heroes Those few who dare Heading for glory Living a prayer
去る5月27日、管政権は東電の福島原発事故の調査委員会のメンバーを正式決定。邦さんもそのメンバーのひとりとして発表された。そのニュースに対する様々な書き込みを見ていると、
「柳田氏なら東電の体質、従来の原子力行政について徹底的にメスを入れてくれる!」
「<想定外>か?--問われる日本人の想像力」という文章を寄稿して、独立した第三者委員会の設立を主張されていた柳田氏が、原発事故調査委員に入ったということを聞いて、本当に感動した」
など、邦さんがメンバーに選ばれたことに対する期待のメッセージが多く見られ、それらを読むうち誇らしくて涙が出た。
二十歳のころから僕の等身大のヒーローだった邦さんは、今や東北、子どもたちとそのご両親、いや国民全員にとってのヒーローになってしまったようだ。
※Sony Music Online Japanより引用させて頂きました
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