令和の青

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2018年05月20日

植樹

植樹

いせさんから新刊が届いた。
今までに何冊、いや何十冊も新刊をもらったけれど、なんだろう、この背筋がのびる感じは?
そんなことを思いながらページを開く。

_土をほると、かくれんぼしていた時間が出てくる。

こんな書き出しからはじまる小編と、次ページには地層の絵が添えてあった。
その瞬間「あぁ、やっぱり。巧いなぁ」と改めて、思う。めくると目次があり、エッセイのタイトルが並ぶ。

『見えない蝶をさがして』と題された新刊は、『岳』という月刊俳句誌にいせさんが書き下ろした19の絵画作品に、20のエッセイがおさまった1冊だった。

早くも2回読んだ。そして2回目のがより面白かった。

いろいろ紹介したいけれど、ある種のネタバレにもなってしまうので、内容を紹介できないのが残念だ。
どれも印象深いエピソードのエッセイだったが僕は『切り株』『古道』『2歳のあなたへ』という3作品が特に気に入った。

また印象深いフレーズもいくつもあった。
なかでも「植樹は ちいさな弔いに似ている。」という一文は、つよく心に残った。

去年の冬から春にかけて、僕は『泰山木(たいさんぼく)』という、自分が通っていた小学校にあった、大木をテーマにした絵本原作を書いていて、そのなかで、僕はまったく同じことを感じ、物語に描いていたからだ。

この習作は読んでもらった人に『ねぇ、しってる?』と比べて暗い、面白くない、などと評判がすこぶる悪く、僕のなかではボツになった一作だったけれど、いせさんと同じ情景が見えているであれば、もういちど光を当ててみようかしら。

『見えない蝶をさがして』
いせ ひでこ
平凡社
樹木、花、鳥、精霊、子ども......この10年、描いた作品に、見ることの楽しさ、生命のふしぎを伝える掌編をそえた、心が歓ぶ一冊。

※表紙画像を(株)平凡社様サイトより引用させて頂きました

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